まず設計段階から生産性を意識することが重要です。金型設計は試作段階から量産を見据え、ゲート配置や冷却設計を最適化します。モジュール化や共通部品化を進めることで、小ロットから量産への移行コストを下げられます。部品点数を減らす一体化設計や、嵌合・溶着など分解可能な接合を採用することで組立工数を削減し、切替時の手戻りを減らせます。DFM(Design for Manufacturing)を徹底し、設計段階で製造上のリスクを潰しておくことが後工程の安定化につながります。
コスト管理の観点では歩留まり改善と廃棄削減が直接的な効果を生みます。成形条件の最適化、金型の定期メンテナンス、材料ロス低減策を継続的に実施することで製造原価を抑えられます。小ロット対応では試作費や段取りコストが相対的に高くなるため、見積り段階でこれらを明確にし、顧客と共有することがトラブル防止につながります。量産移行時にはTCO(Total Cost of Ownership)で評価し、設備投資の回収計画を立てることが必要です。
製品設計段階からの環境配慮設計(DfE: Design for Environment)を取り入れることも効果的です。部品点数の削減、分解性の向上、リサイクルしやすい材料の採用など、設計段階での工夫が廃棄時の環境負荷を大きく左右します。顧客と連携して製品の使用寿命やリサイクル方法を検討することで、製品価値を高めつつ環境負荷を低減できます。 例えば、製品の寿命を延ばす設計変更は、廃棄物削減だけでなく顧客満足度の向上にも寄与します。
試験・検査技術の進化 ゴム製品の品質管理は、原材料の検査、製造プロセスの監視、製品の試験・検査、トレーサビリティの確保など、複数の段階で行われます。主な試験・検査技術としては、引張強度、硬度、耐久性、圧縮永久ひずみ、耐摩耗性、耐薬品性、オゾン劣化試験、熱老化試験、比重測定、加硫試験、反発弾性試験、疲労試験などが挙げられます。 JIS、ISO、ASTMなどの国際標準規格に基づく試験方法が広く採用されており、材料の適合性や性能、耐久性、信頼性を客観的に評価することが可能です。例えば、JIS K 6251(引張試験)、JIS K 6253(硬さ試験)、JIS K 6257(熱老化試験)、JIS K 6259(オゾン劣化試験)、JIS K 6264(耐摩耗試験)、JIS K 6262(圧縮永久ひずみ試験)などが代表的です。 耐久性試験では、熱・光・オゾン・油・薬品・負荷応力などのストレスによる劣化を促進し、長期耐久性寿命を迅速に評価します。アレニウスモデルやアイリングモデルによる寿命予測、複合劣化促進試験による実使用環境の再現など、信頼性評価の高度化が進んでいます。
また、製造会社としての視点が最も活かされるのが「製造容易性(DFM:Design for Manufacturing)」の検討です。どれほど美しいデザインであっても、成形が困難であったり、金型構造が複雑になりすぎてコストが跳ね上がったりしては、ビジネスとして成立しません。成形時の歪みを抑えるための肉厚調整、金型から製品を取り出しやすくするための「抜き勾配」の設定、あるいは部品点数を減らすための形状統合など、製造のプロとしてのノウハウを設計にフィードバックします。これにより、高品質でありながら生産効率の高い、競争力のある製品設計が可能になります。
■デザインと機能の融合:製造可能性を考慮した設計(DFM) デザインが優れていても、製造コストが合わなかったり、構造的に強度が不足していたりしては、製品として世に出ることはできません。ここで重要になるのが「製造容易性を考慮した設計(DFM:Design for Manufacturing)」という考え方です。
また、リサイクル技術の向上も極めて重要なテーマです。プラスチックのリサイクルには、大きく分けてマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルの三つの手法があります。これまでのマテリアルリサイクルでは、再生を繰り返すごとに品質が劣化する「ダウンサイクル」が一般的でしたが、近年の高度な洗浄技術や異物除去技術により、元の製品と同等の品質に戻す「水平リサイクル」が可能になりつつあります。製造会社としては、製品設計の段階から「リサイクルしやすい設計(Design for Recycling)」を取り入れることが求められています。例えば、複数の素材を組み合わせる多層フィルムを単一素材(モノマテリアル)化する技術などは、リサイクルの効率を劇的に高める可能性を秘めています。